冷却塔点検

どーもm(_ _)m
最近、「可もなく不可もなく」な私です。
過去に冷却塔「清掃」について紹介した記事を書きました。
今回は冷却塔「点検」の方法を紹介したいと思います。
どちらかというとビルメン初心者向けの内容となっていますが、中堅・ベテランの方も自分の現場の点検方法と比較してみて下さい。(似通ってると思いますが)
私の現場の冷却塔は約2年前に更新され新しくなりました。
なので不具合が発生している可能性は低いですが、更新される以前の冷却塔の不具合事例を織り交ぜつつ紹介したいと思います。
点検準備
他の設備でも同じ事ですが、点検をするにあたってまず、前回の点検表を用意します。
前回の点検結果(データ)を踏まえた上で点検する事により、新たな不具合の発見や既に不具合がある場合はその経過を知る事ができます。
冷却ファンの点検
まずは、冷却塔ファン起動時の電流値確認を行います。

電流の値を前回のデータと比較します。前回同様12Aでした。問題なしです。
仮に、この値が前回値と違っている場合は、何らかの不具合が発生しています。
このあと、冷却ファン本体の点検を行いますので、ブレーカーをオフにしておきます。

事故につながるので確実にオフにします。(セレクトスイッチも断にしておきました)
冷却塔上に移動しファンベルトの点検を行います。

ストッパーを外してカバーを開きます。

ファンベルトがでてきますので、点検を行います。
見るべき箇所は

プーリーに対してベルトが食い込んでないか?(食い込みがある場合は、プーリーORベルトが磨耗している可能性あり)

ベルトに亀裂や伸びがないか?
を確認します。特に問題はありませんでした。
ちなみにこの冷却ファンはグリスアップが不要です。(グリス注入口がない)
以前の冷却ファンでは、グリスアップが必要でした。
更新工事の担当者に確認したところ「グリスアップは不要」との回答でした。
どうやらオイルレスベアリングを採用しているようです。つまりメンテナンスフリーです。
散水板の清掃
冷却塔の上部には充填材に温められた水を拡散する為の散水板があります。

この散水板にはカバーがしてありますのでカバーを外します。(更新される以前の冷却塔にはカバーがありませんでした)

散水板の穴にスケール(水の不純物が固化したもの)が引っかかっているのを確認できます。

穴が詰まってしまうと、下の充填材に水が万遍なく行き渡らなくなってしまいます。(冷却効果が悪くなる)
なので、このスケールを除去します。

綺麗になりました。スケールは私が予想してたよりは溜まってなかったです。たくさん溜まってしまうと清掃が大変なので、少ないうちからコツコツ掃除する方が楽です。
清掃終了後、カバーを戻してボルトの締め忘れがないようにします。
締め忘れると、風の強い日にカバーが飛ばされる可能性があります。最終チェックをしっかり行います。
冷却塔内の点検
冷却塔内に入ります。
まず見る箇所は、充填材と塩ビの配管です。

目視にて異常がないか確認します。この冷却塔は更新されてまだ2年程なので異常は見あたりませんでしたが、以前の冷却塔では塩ビの配管が外れていた事がありました。
経年劣化により、冷却水ポンプの水圧で外れてしまったようです。
なので、そういったトラブルが起きてないか確認します。
それと、冷却ファンの目視点検も行います。

めったにある事ではないと思いますが、羽根が折れてないかの確認をします。
目視点検は以上です。
次に、補給水の起動確認を行います。
ボールタップを手で押し下げて、ちゃんと給水される事を確認します。

給水に問題がなければ今度は逆に、しっかりと止水されるか確認します。以前の冷却塔では、止水がしっかりされず24時間ポタポタと水を垂れ流している状態でした。水がもったいないですね。
最後に薬剤(スライムコントロール剤)を投入します。

この薬剤の役割は「レジオネラ属菌・藻類・スライム」の増殖を抑制してくれます。
薬剤投入後、撹拌する為に冷却水ポンプを回します。(大体、3分ほど)
その後、電気伝導率(水質を数値化したもの)の数値を点検表に記録します。

こちらも、前回と同様の数値でした。(水質に大差なし)
ちなみにこの伝導率が、ある一定の値に達すると、自動的に新しい水が給水される仕組みとなっています。
復旧作業
冷却塔点検のために、オフにしたブレーカーやセレクトスイッチを元に戻します。

当たり前の事ですが、けっこう忘れがちです。
何でもそうですが、この復旧作業を忘れるとトラブルに発展する可能性があります。
「元に戻すまでが点検」です。
(家に帰るまでが遠足てきな)
まとめ
以上、私の現場の「冷却塔点検」でした。
冷却塔も現場の特徴やメーカーによって、構造や造りにちょっとした違いがあると思います。
ただ、本筋の仕組みはどれも同じなので私の現場の点検内容で通用すると思います。ビルメン初心者の方は参考にして下さい。
中堅・ベテランビルメンの方々にとっては知ってる事ばかりでつまらない内容だったかもですが「自分のところはこうしてる」とか「自分のところはここまでやってる」などのアドバイスがあれば是非、コメント(ご指導)下さい。
では、お疲れ様でした。
ブログランキング参加してます。

-
前の記事
蛍光灯安定器交換 内緒の技 2020.06.18
-
次の記事
我が社(独立系ビルメンテナンス)の特徴シリーズ第1弾「同族企業」 2020.06.23
私は冷房熱源機器の最終熱源として、冷却塔の保守は重要性が高いと思っていましたので、運転中(ほぼ終日運転)は日に3回は運転状態を確認しに屋上に行っていました。薬注装置の薬液残量、導電率計の指示値、ブローダウンの状況、受け皿槽内の沈殿物、補給水の状態、そして紹介されていた散水板の穴の状況(散水板に蓋の無いタイプだったので、スケール固形物の撤去については容易でした。しかし、飛散してきた木の葉、ビニル袋、カラスが持ち込んだゴミ類など、また、日光が当たるため緑藻が発生しやすい等)私としては、散水板には蓋付きが良いと思います。そして、冷却ファンの運転電流値(電流計指針の振れ幅が大きくなってくるとVベルトが伸びてきているか、異常発生によりバタついている可能性あり)の確認、冷却水循環ポンプの運転電流値(槽内吸込み口の網のゴミ詰まり、配管ストレーナーのゴミ詰まりなどにより、循環水量が少なくなってくると電流値が小さくなる。通常値の70%~60%ぐらいになると何か異常が進行していると考えた方がいいと)の確認、以上が、この記事より思い起こした私の経験談からでした。
引退設備保守員さん、コメントありがとうございますm(_ _)m
現場の違いによって冷却塔の重要度の認識に差があるようですね。
身が引き締まります。
私の現場では、大規模な熱源改修工事が行われました。
それ以前の熱源は蓄熱層です。夜間にターボ冷凍機で冷水をつくってました。
日中、冷水が足りなくなるので吸収式で補う感じで運用してましたので、冷却塔の役割は大きかったです。
しかし改修工事後の熱源は、ヒートポンプチラーになりました。
ほぼほぼこのチラーのみでまかなえてしまうので、吸収式を運転する機会は少ないです。
現在では、猛暑でチラーのみでは、冷水が追いつかない時か、チラーに不具合があって運用できなくなった場合の予備機的な位置付けとなってます。
いざ!って時にちゃんと機能するよう、日頃のメンテナンスが重要ですね。
貴重な経験談、ありがとうございます。