ブレーカーが上がらない

今回の記事は電気トラブルです。
あるテナント様からタイトル通りの連絡を受けました。
「ブレーカーが、上がらないので診て欲しい」
この連絡を受けた時、私の中でひとつの予想がたっていました。
「過電流or短絡でブレーカーがトリップ(落ちる)して上がらなくなっている」
電気に詳しい方なら、同じ予想をすると思います。
と言う事で現地確認に向かいました。
該当のブレーカーはテナント内の盤の中にありました。テナント様が独自に設置した物です。
(本来ならテナント様の財産区分の為、メンテナンスの範疇外です。私たちが調査する必要はありません。
が、そこのテナント様はこちらの定期作業等、協力して頂けますし、とても接しやすいので調査する程度のサービスはしたいと思えます。)
こちらが盤の中の上がらないらしいブレーカーです。
一番左のOFFのブレーカーです。
あれ?ブレーカーの摘まみがOFF側になっています。
過電流や短絡で落ちたならブレーカーの摘まみは、真ん中の位置にあるはずです。(その状態からONにする事はできません、一度OFF側にしてリセットをかけてあげる必要があります)
テナントの方にブレーカーが、この様な状態になった経緯を訊ねてみると
「帰る時に毎回ブレーカーをOFFにしていて、今朝、ブレーカーをONにしようとしたら上がらなくなっていた」
との事だそうです。
とりあえず、該当のブレーカーの負荷を調べます。
よく見るとブレーカーの二次側(負荷側)に電線が2本入っています。
つまり、このブレーカーから2回路取っています。
ひとつはすぐに分かりました。(メタルモールでの露出配線だった為)
作業台用のコンセントでした。ちなみにコンセントには何も繋いでいない(無負荷)状態でした。ブレーカーがOFFの為、電圧は当然有りませんでした。
もうひとつの回路を捜します。
室内すべてのコンセントを検電器で調べます。(電圧があるとランプが点滅し、ピーピー音が鳴ります)
反応無しのコンセントを発見しました。おそらくこのコンセントです。
どうやら電気給湯器用のコンセントのようで、今現在は使用していないようです。
この2回路、両方共に負荷無し(使用していない)の為、過電流の可能性が消えました。
次にブレーカーからコンセントまでの配線の短絡を疑います。
テスターで導通を確認しましたが、短絡はしていませんでした。あと、絶縁測定も行いましたが、問題なしでした。
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私の予想は外れました。
とりあえず、二次側に問題がなかったので、OFFのブレーカーをONにしました。が、手で摘まみを押し上げている分には上がるのですが、離すと落ちてしまいます。
↓に動画を載せときます。
過電流も短絡も絶縁も問題なしにも係わらず、ブレーカーが上がらないとなると、残りはブレーカー本体の故障しかありません。
試しに手で摘まみをONの状態にキープして二次側を検電してみましたが電圧はありませんでした。
ブレーカー本体の故障で間違いないでしょう。
この仕事を始めて、ブレーカートリップのトラブル調査は何度も行いましたが、原因が「ブレーカー本体の故障」は今回が初めてです。
私にとって貴重な経験となりました。
調査結果をテナント様に伝えて、壊れたブレーカーの交換をお勧めしました。
(テナント財産ですので、交換費用は有償になります)
ですが、テナント様曰く
「作業台のコンセントも電気給湯器も今は使用していないので、交換はいいかな」
との事でした、、、。
「なんじゃそりゃ」と内心思いましたが、テナント様がそう言うので仕方ないですね。
とりあえず、今回のトラブルの原因を突き止める事ができたので良しとしましょう。
では、お疲れ様でした。
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