空調の風がうるさい

あるテナント様から
「空調の風音が気になるので診て欲しい」
と依頼が入りました。
さっそく、現場確認へ向かいます。
こちらが、その風の強いアネモ(吹き出し口)です。天井に設置されてあります。
このアネモが設置されてある部屋は、研修室です。
部屋の奥の壁にホワイトボードがあり、室内には机と椅子が並べられています。
研修が行われる際に、講師の方が立つであろう位置のちょうど真上にこのアネモがあります。
確かに風音がうるさいです。
ちなみに、このアネモは外調機用です。外調機とは、外気取り込み専用機で外の新鮮な空気を室内に供給しています。
この室内のメイン空調は、PACエアコンで行っています。
何故、このような事になったかと言うと、最近この外調機を更新したばかりでした。工事した担当者に確認したところ、「新しい外調機は、更新する前の外調機よりもパワーが上がっている」との事でした。
この研修室は、外調機がある機械室の近くであった為、如実に風速が上がってしまったのだと思われます。
何とかして風速を弱める必要があります。
最初に考えたのは
「アネモ内部にあるシャッターを絞る」です。
実行してみましたが、シャッターを絞ると風音が甲高くなりました。
ブォーという音から隙間風のような
シャーという音に変わって余計うるさくなってしまったので、この方法ではダメです。
次に考えたのは
「外調機の出力を下げる」です。
しかし、この外調機はこのフロア全体に外気を供給しています。この研修室の為に風量を調整したとすると、外調機のある場所から離れたテナントに十分な量の外気を供給できなくなります。
よって、この方法もダメです。
工事業者と話し合い、最終的に
「アネモまでのダクトにVDを取り付ける」事にしました。
VDとは、ボリュームダンパーの事で、風量調整ができます。
この問題を解決するには、VDの取り付けが必要です。
取り付ける場所ですがダクト調査の結果、運のいい事にアネモまでのダクトが機械室を経由している部分がありました。
手書きの図面を参照下さい。
VDを操作するにしても、取り付け工事をするにしても、機械室の方がやり易いです。
将来的にVDを取り付ける場所を図面上の赤丸の位置としました。
後は、工事の準備を業者さんに進めて貰うのですが、これがなかなか時間が掛かるそうです。
見積もりを管理事務に提出して、見積もりが通ったら材料を発注して、施工業者と作業日程を打ち合わせて、等々。
工事着手まで、この研修室のアネモはうるさいままとなってしまいます。
それでは、テナント様に迷惑をかけてしまいますので、VD取り付け工事までの応急処置を施そうと思います。
将来VDを取り付ける位置のダクトに穴を開けて風を逃がしてやります。
そうする事で、アネモの風速を弱めるという処置をします。
では、作業に取りかかります。
まず、穴を開ける前にアネモ吹き出し口の風速を測定しときましょう。
どの程度風速を落とすかを聴覚だけに頼らず、数値で確認する為です。
作業前は3.58m/s(メートル毎秒)です。
穴開けに移ります。
こちらが機械室内のダクトです。
保温が巻かれてありますので、穴開け箇所の保温を剥がします。
剥がし終わったらドリルで穴を開けます。
とりあえず3箇所、穴開けをしステップドリル(通称タケノコ)で穴を拡張します。
ここまできて風速が気になりましたので一旦測定してみましたが、全く数値に変化がなかったので、穴の数を増やす事にしました。
6箇所穴開けが完了しました。
再度、風速を測定してみます。
2.77m/s
作業前より約0.8m/s下がっています。
実際の風音も少し弱まった感じがしますが、もう少し下げる事にしました。
穴と穴を金切りバサミで繋げていきます。
開口をここまで広げました。
では、再三測定してみます。
2.29m/s
作業前より約1.3m/s下がりました。
私の感覚でも大分、風音が軽減されたように感じましたので、これにて応急処置完了とします。
VDを付けてしまえば、自由に風量を調整できるのですが、それはまだ先になります。業者さんは他にもいろいろと作業があり忙しそうです。
VDが付くのはいつになる事でしょうか。
では、お疲れ様でした。

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