冬場の「暖房が効かない」という空調クレーム

冬場の「暖房が効かない」という空調クレーム

どーもm(_ _)m

物理的対応可能な範疇を超えているクレーム(わがまま)に対して、言ってはいけない言葉を吐き出したくなる私です。

あるフロア、あるテナントの、ある居室から、「暖房が効かなくて寒い」といった空調クレームをうけました。

現地確認へ向かいます。

その居室の広さは8畳程で、広くはありません。そして、設置されているエアコンは1台のみでして、

それがこちらです。

吹き出し口に目張りがされています。

テナントの方曰く「風が直接当たるのが嫌だ」との事です。

壁に設置されているコントローラーの画面を見てみます。

「暖房準備中」

この表示は、

①エアコン起動時

②デフロスト(霜取り)時

③室温が設定温度に達した時

のいずれかの状態時に表示されます。

暖房準備中になると、温風ではなく「送風」となります。

そして、今回の暖房準備中となった要因は「③」であると私は考えます。

その居室の設定温度は「26℃」になっていて、室温も「26℃」と、コントローラーに表示されていました。

室温が設定温度に達しているので暖房準備中となり送風運転となっています。

暖かい風が出ていないので、居室の方は「暖房が効かなくて寒い」と言っているのです。

室温が26℃なのに何故寒いのか?

実は、コントローラーのディスプレイ上は26℃と表示されていますが、実際は違います。おそらく、その居室は26℃に達していません。

その原因は「吹き出し口の目張り」によるものです。

このエアコンの吸い込み口に「温度センサー(サーモ)」があります。

吸い込み口のカバーを外すとフィルターがあり、

更にそのフィルターを外すと、

基盤のボックスから温度センサーが出ているのが確認できます。

これが「室温を感知する」役割の温度センサーです。

この居室のエアコンは、吹き出し口から温風を出した時、「目張り」により室内に供給されずに、吸い込み口へと戻ってしまいます。

つまり、温風がそのまま温度センサーへと向かってしまったことによる「勘違い」を起こしているのです。

この現象を専門用語で「ショートサーキット」と言います。

ショートサーキットの原因である「目張り」を外してしまえば解決するのでしょうが、「風が直接当たるのは嫌」との事。(お肌が乾燥してしまうのでしょう、おそらく)

「じゃあ無理じゃん」と思われるかもしれませんが、そのような「わがまま」を解決する策があります。

この温度センサーはエアコン本体とは別に、もう1箇所設置されてあります。

それは、「コントローラー(リモコン)」です。

リモコン内部に温度センサーがあります。

ちゃんと風通しの穴もあります。

初期設定がエアコン本体の温度センサーで室温を感知するようになってるのを、リモコン側で室温を感知するように設定変更をすれば、目張りを外すことなくショートサーキットを防げます。

(本体サーモからリモコンサーモへと切り替える)

さっそく設定変更を行います。

まず、基盤のボックスカバーを、

あけます。

すると、基盤にいくつかの「ディップスイッチ」があります。

設定変更はこのディップスイッチの操作で可能です。(具体的な方法は割愛します)

現在の温度センサーはどちら(本体orリモコン)になってるのかは、コントローラーのディスプレイ上で確認可能です。

こちらの表示(記号)は本体側を意味しています。

4方向PACを表した記号のよう

リモコン側に設定変更すると、この様な表示(記号)になります。

リモコンを表した記号のよう

(上記の写真は、説明用にそれぞれ別の場所のリモコンを撮影したものになります)

リモコン側へ設定変更後、ディスプレイを見ると、26℃だった室温が23℃まで下がり、無事に暖房運転を開始しました。

これにてショートサーキット対策は完了です。

当ビルに設置されてあるエアコン(三菱製)はこのようなシステムとなっていますが、これは設置されているエアコンのメーカーや種類によって可能、不可能が変わってきます。

なので、今回紹介したことがどのエアコンでも必ずできるとは言いきれませんのであしからず。

参考までに。

では、お疲れ様です。