人災発生後の防災活動

どーもm(_ _)m
事故やトラブルが私の泊まりの日に偏って発生しているような気がする私です。
この記事は「人災が発生しました」の続きとなります。
消防隊の方々による、人災事故が起きた原因を除去する防災活動に携わったので紹介したいと思います。
仮設本部の机に、事故が発生したフロアの平面図が既に用意されていました。(警備が図面をコピーして渡したとのこと)
隊長による事故発生の事実確認が行われます。
「事故現場はどこになりますか?」
私は平面図上で場所を伝えました。
「何かの中毒のようですが、何の作業をしていたのですか?」
詳しく把握してる訳じゃないですが、塗装作業をやっていたと思われます。
(作業の詳細については、工事監督者に聞いた方がいいのですが、搬送された作業員と一緒に救急車に乗ったようでした)
「居室の排気をする必要がありますが、排気に関するシステムはどうなってますか?」
私は現在、そのフロアで出来る限りの排気をしていることと、起動した設備の説明を行いました。
「このビルに排煙設備はありますか?」
地下階の一部にはありますが、地上階にはないです。
「居室内の窓は開閉できますか?」
はめ殺し窓なので開かないです。
「現在、排気をしてるのはこのフロアのみですか?」
そうです。まだ、時間的に空調設備が起動する時間じゃないので、他のフロアは換気されていないです。
「では、事故発生フロアから上のフロア全てと、1つ下の階の排気設備のみ起動できますか?給気はしないで下さい」
私は宿直パートナーに連絡して中央監視盤から対象機の起動を指示しました。
ただ、外調機に関しては中央監視盤からだと、給気と排気がセットで起動します。なので、各器機の制御盤にて排気のみ手動起動をかけました。
排気の起動操作が終わり、仮設本部へ戻ると、消防隊による現地調査を開始したと隊長から伝えられました。
居室に発電機(ガソリン式)があったことにより、おそらく中毒の原因は「一酸化炭素」ではないか?との見解です。(塗装に使用するエアーコンプレッサーの電源として発電機を使用したらしい)
消防隊の方が居室の濃度測定を実施した結果、「1000ppm」とのこと。(約1時間で意識を失う)
外調機を起動していてこの数値ですので、作業員が倒れた時は、もっと危険な数値だったと予想されます。
続けて隊長が「居室内の一酸化炭素を排気しなければなりません。蛇腹ダクトの送風ファンで排気したいのですが、排気はどこへするのがベストだと思いますか?」(排気力の強い設備はどれですか?)
「外調機の排気、湯沸かし室排気、便所排気」どれも厨房排気のように吸う力が強い排気ではありません。
送風ファンの押し出す風量を全て吸える力のある排気設備とは言えないです。
屋外の非常階段までは距離があり、蛇腹ダクトが届きません。
ただ、運のいい?事にそのフロアには喫煙所があります。しかも事故が発生した居室から遠くありません。
私はそれを隊長に伝えました。
喫煙所の排気設備は、天井の吸い込み口で吸って、天井裏のダクトは駆躰をかいして直接屋外へ排気されるシステムです。
排気すべき場所が決まり、消防隊の方々により一酸化炭素の排気作業が開始されました。
ここで私に出来る仕事は一旦収まりました。
排気作業の最中に、元請けや、業者の社長らがビルに到着し、事実確認を行います。
そして、倒れた作業員と一緒に病院へ同行していた工事監督者も戻ってきました。
と同時に事情聴取が始まります。
争点は「発電機を持ち込んだかどうか?」です。
消防隊の方は居室内に発電機があったと報告してますが、この工事監督者は「持ち込んでいない」と主張しています。
確かに、コンプレッサーの電源は居室の壁コンセントから取れるので発電機を使用する必要はありません。
消防隊の方がエアーコンプレッサーを発電機と見間違えてる可能性もあります。
間違いなく発電機だったとすれば、
「コンプレッサーは200V用なのか?」
「だから発電機は200Vの電源を取るために必要だったのか?」
と私なりに、いろいろと推測します。
この疑問は現地確認をすれば、解決するので、消防隊の排気作業完了を待ちます。
排気作業により、居室の一酸化炭素濃度が10ppmまで下がったため、隊長の入室許可が下りました。
業者の社長がさっそく現地確認へ向かいます。
そして結果は、100V用のコンプレッサーと100V用の発電機があったそうです、、、、。
その後、安全確認のため、そのフロア全ての居室の濃度測定を行い、安全確認後テナントの方の入室許可が下りました。(事故発生後、そのフロアは立ち入り禁止としていた)
こうして消防隊による防災活動が無事に完了しました。
排気仕様としていたビルの空調設備を通常モードに戻して私の事故対応も完了です。
事故現場の居室ではその後、警察による現場検証?が行われていました。(事件性が無いかの確認?私も会社名、名前、住所、電話番号など聞かれました。もちろん私はやってません)
設備管理をやっていると極たまにですが、今回のようなトラブルに直面する場面があります。
そんな時に設備的にしっかりと対応出来るようにしておかなければならないなと、改めて感じました。
一酸化炭素中毒。
話しでは聞いていましたが、目の当たりにし、その危険性を深く理解しました。
皆さんも気をつけて下さい。
では、ご安全に。
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