雑排ポンプ吸い上げ不良

雑排ポンプ吸い上げ不良

私の常駐している地下フロアに雑排水槽があります。地下テナントで排水される水はここに流れて、一時的に溜められます。一定量溜まると自動で水中ポンプが起動し、下水へ排水されます。

本来ならば、、、。

水中ポンプはNo.1とNo.2の2台ありますが、1年程前にNo.1のポンプが絶縁不良を起こして使用不可になりました。

それから現在まで、No.2のみの1台運転です。もし、このNo.2のポンプまで使えなくなると、雑排水が排水できなくなり、完全にアウトです。

しかし今回、この最後の砦のNo.2ポンプに不具合が発生してしまいました。

吸い上げ時の電流値が本来の値まで上がりません。

通常は10A(アンペア)でないといけないのですが

ご覧の通り8A程しか出ていません。

これは、まずいです。いよいよ追いつめられてきている感じです。

このトラブルの原因がもし、ポンプ本体によるものだと更にまずいです。

恐る恐る絶縁測定をします。

決して良い値ではありませんでしたが、まあ許容範囲内でした。ひとまず安心です。

となると、原因としては

①水中ポンプの吸い込み口にゴミが付着している

②チャッキ弁(逆止弁:水を1方向にのみ流れるようにする。逆流させない)にゴミが溜まって、弁が十分開ききれていない

の、どちらかと予想します。

私は、①が濃厚だと思います。

①の改善策は、ポンプの吸い込み口を掃除してあげるのがベストなのですが、その為には水槽内に入る必要があります。

水槽内に入るという行為は、危険です。

槽内の酸素濃度が低いと酸欠(酸素欠乏症)になり最悪、死亡します。

もうひとつは、硫化水素ガスが槽内に充満している可能性があり、これもまた危険です。

槽内に入るためには、送風機で新鮮な風を十分に送ってあげた上で、酸素濃度硫化水素濃度を専用の測定器で測定し、規定値をクリアしてからでないと入れません。

その測定器を等ビルは、所持していませんし、更にその測定器は測定資格所持者が測定しなければならないらしいです。

よって、吸い込み口にゴミが付着しているかの確認と、その場合の清掃はできません。

ただ、付着しているであろうゴミを取り除けるかもしれない方法があります。

ポンプの吸い込みを逆にして吐き出すようにしてあげる事はできます。(正回転しているポンプを逆回転にする)吐き出した水圧で、もしかすると付着したゴミが取れるかもしれません。

さっそくトライしてみます。

方法は簡単です。

ポンプの電源は3本の電線からなっています。(3相3線式)

下の写真の赤、白、青の電線です。

その線の2つを入れ換えるだけで、ポンプが逆回転します。

赤線と青線を入れ換える事にします。ブレーカーを落として、電線を外します。

入れ換えます。

準備完了です。

手動運転にてポンプを短く、起動、停止を数回行いました。ちなみに、逆回転時の電流値は、6Aでした。

数回行った後、電線を元(正回転)に戻して、吸い上げの電流値を確認しましたが、値に改善はみられず8Aのままでした。

やはり、物理的に清掃しないと取れないゴミが付着しているのだと思われます。

この雑排水槽は半年に1度、専門業者に清掃して貰っています。次回の清掃は、約2ヶ月後です。その時にポンプ本体、吸い込み口の清掃をして貰うしかないです。

とはいえ現状で、できる範囲の事は行おうという事になりましたので、②のチャッキ弁の分解清掃も行います。

こちらがそのチャッキ弁です。

8箇所ボルトがしてある蓋を外すと、内部にアクセスできます。

チャッキ弁のすぐ上に止水用のバルブがあります。

チャッキ弁を開ける前にこのバルブを閉じてから作業します。

このバルブ、通常は常に「」の状態でして、開け閉めする事はほとんどありません。なので、バルブが固着していて簡単には閉まりませんでした。

バルブにパイプレンチを挟んでやっと回りました。

バルブの横に目盛りがありますので、そこを見ながらバルブを操作します。

開から

閉へ。

このバルブを閉めるだけで、疲れました。

が、作業はここからです。

チャッキ弁、蓋のボルトを外します。

インパクトドライバーで簡単に外れました。

蓋を開けてしまう前に止水弁とチャッキ弁の間にある残り水を、蓋を少し開けて排水させます。

排水完了後、蓋を開けてチャッキ弁内部の確認です。

汚れていますが、弁の開閉には問題無さそうです。

内部を清掃します。

弁の開閉確認も問題無しです。

これで、ポンプの吸い上げ不良はチャッキ弁が原因ではない事が分かりました。

では、元に戻します。

古いシートパッキンがに固着しているので奇麗に取り除きます。

チャッキ弁側、完了です。

蓋側も同様に取り除きます。

蓋側も完了です。

新しいシートパッキンをチャッキ弁と弁蓋の間に取り付けます。

シートパッキンはそのままだとボルト部に干渉するので加工しました。

蓋をして、ボルトで止めます。

ボルトは対角線に増し締めして、作業完了です。

一応、吸い上げの電流値を確認しましたが、改善されませんでした。

この雑排ポンプはNo.1が故障した時点で管理事務所の方に更新を打診していました。ポンプも設置してから12年が経過しているので、更新時期にきています。

が、更新費用が百万単位と高額な為、なかなか決まらずにいました。しかし、今回のNo.2ポンプの不具合が発生した事により、必要に迫られた形で更新が決定しました。

更新工事は水槽清掃時に一緒に行うそうなので、約2ヶ月後になります。

それまで、このまま持ちこたえてくれる事を願います。

今回、いろいろと作業したにも係わらず成果が無いのが虚しいです。

では、お疲れ様でした。